電車旅が好きな人なら、一度は耳にしたことがある「青春18きっぷ」。でも、東日本エリアにはそれ以外にも、エリア限定でおトクに乗り放題になるきっぷがいくつもあります。
長期休みを使ってローカル線で日本を横断してみたい人もいれば、首都圏から1〜2泊で近場をぐるっと回りたい人、箱根や千葉など行き先を決めてじっくり周遊したい人もいるはずです。この記事では、そんな旅のスタイルに合わせて選べる「東日本の乗り放題きっぷ」を、購入元(どこで買えるか)も含めてまとめました。
※発売期間・価格・利用条件は変わることがあるので、必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
1. ローカル線で日本を横断するなら:青春18きっぷと北海道&東日本パス
◯ 青春18きっぷ
まずは定番の「青春18きっぷ」。シーズン限定で発売されるフリーパスで、全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席に加え、一部のBRTやJR西日本宮島フェリーなどが1日単位で乗り放題になります。年齢制限はなく、誰でも購入・利用できるのがポイントです。
きっぷは「◯回分」という形で販売され、1回が1人1日分に相当します。1人で5日間かけて旅をしてもいいし、友人5人で1日だけ共有して使うことも可能です。東日本に限らず全国で使えますが、特に東北や信州、北関東などをローカル線でじわじわと巡る旅とは相性抜群です。速く移動することよりも、「各駅停車で寄り道を楽しむこと」を旅のメインにしたい人向けのきっぷと言えます。
青春18きっぷは、全国のJRの主な駅にある指定席券売機やみどりの窓口、主な旅行会社などで購入できます。詳細な条件や最新情報は、JR東日本の公式ページで確認できます。
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2982
◯ 北海道&東日本パス(普通列車限定)
同じ「のんびり旅」でも、もう少し北日本にフォーカスしたい人に向いているのが「北海道&東日本パス(普通列車限定)」です。対象となるのは、JR北海道線とJR東日本線、さらに青い森鉄道線、いわて銀河鉄道線、北越急行線などで、これらの普通・快速列車(普通車自由席)が連続7日間乗り放題になります。
函館から東北を抜けて首都圏まで南下するルートや、東北一帯を1週間かけて巡るローカル線旅など、「時間をかけて北日本を味わう」ような旅にぴったりです。一部の新幹線区間は、特定特急券などを追加購入することで利用できるケースもあります。
購入は、JR北海道・JR東日本の主な駅にある指定席券売機やみどりの窓口、主な旅行会社などから。詳しい条件やフリーエリアの地図は、JR東日本とJR北海道それぞれの公式ページをチェックするのが確実です。
“参考情報”
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2962
https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Otoku/007165/
2. 首都圏から1〜2泊で楽しむエリアフリーパス
◯ ときわ路パス(茨城エリア)
茨城方面の旅に使いやすいのが「ときわ路パス」です。茨城県内と栃木県東部エリアのJR線に加え、関東鉄道、鹿島臨海鉄道、ひたちなか海浜鉄道、真岡鐵道などが1日乗り放題になります(普通・快速列車の普通車自由席が対象)。
水戸や偕楽園、大洗やひたち海浜公園といった海側のエリアから、内陸のローカル線沿線まで、1枚のきっぷでかなり広範囲を回ることができるのが魅力です。首都圏からの日帰りはもちろん、1泊2日でじっくり巡る旅にも使いやすいサイズ感です。
ときわ路パスには紙のきっぷとデジタル版の2種類があります。紙のきっぷはフリーエリア内のJR東日本の主な駅のみどりの窓口や指定席券売機で購入でき、デジタル版はスマホ向けサイト「ひたちのくに紀行」から購入します(会員登録とモバイルSuicaの設定が必要です)。
“参考情報”
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2960
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2961
https://maas-portal.com/hitachinokunikiko/
◯ えちごツーデーパス(新潟エリア)
新潟県をぐるっと回りたいなら「えちごツーデーパス」。新潟県内のJR線に加え、えちごトキめき鉄道や北越急行(ほくほく線)なども対象となり、広いエリアが2日間乗り放題になります。
新潟市から長岡、柏崎、上越方面まで日本海側をなぞるように移動したり、内陸の温泉地やローカル線沿いの街をはしごしたりと、1泊2日のコンパクトな周遊旅としてちょうど良いボリュームです。普通・快速列車の普通車自由席が対象なので、ローカル線の雰囲気を楽しみながらゆったり回るスタイルに向いています。
購入は、フリーエリア内および上越妙高駅の指定席券売機やみどりの窓口、駅たびコンシェルジュ、主な旅行会社、さらにえちごトキめき鉄道の一部駅などから可能です。フリーエリアの範囲や利用可能な路線の詳細は、JR東日本新潟支社の特設ページにまとまっています。
“参考情報”
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2957
https://www.jreast.co.jp/niigata/echigo-1day2daypass/
◯ サンキュー❤ちばフリーパス/サンキュー❤ちばフリー乗車券(千葉)
千葉県をまるごと楽しみたい人には、期間限定発売の「サンキュー❤ちば」シリーズが便利です。「サンキュー❤ちばフリーパス」と「サンキュー❤ちばフリー乗車券」の2種類があり、設定内容は少し異なりますが、どちらも千葉周遊に特化したフリーパスです。
フリーエリア内では、JR線に加え、小湊鉄道、いすみ鉄道、銚子電鉄、流鉄、北総鉄道、京成電鉄、芝山鉄道などの私鉄各線、さらに小湊鉄道バス、九十九里鉄道バス、ジェイアールバス関東、日東交通、京成バス千葉イースト、京成タクシーイーストの一部路線、そして東京湾フェリー(金谷〜久里浜)までが乗り放題になります(発売時期の条件によって対象が変わることがあります)。
外房や内房の海沿いをぐるっと周遊したり、銚子電鉄で犬吠埼まで足を伸ばしたり、小湊鉄道で里山の風景を眺めながらのんびり旅をしたりと、「千葉を広く深く楽しむ」ためのパスというイメージです。
サンキュー❤ちばフリーパスは、JR東日本の千葉県内の主な駅や久里浜駅の指定席券売機で発売されます。都区内からの往復乗車券もセットになったサンキュー❤ちばフリー乗車券は、都区内の主な駅にある指定席券売機で購入できます。
“参考情報”
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2977
https://www.jreast.co.jp/tickets/info.aspx?GoodsCd=2978
3. 首都圏ローカルや箱根を“深掘り”する私鉄フリーパス
JRだけでなく、私鉄各社のフリーパスも東日本の旅を支えてくれます。行き先がある程度決まっている場合は、私鉄系の乗り放題きっぷのほうが、現地のバスやロープウェイまでまとめてカバーできて便利なことも多いです。
◯ 東急線ワンデーパス
都内・横浜エリアでの街歩きやカフェ巡りの日に使いやすいのが「東急線ワンデーパス」です。東急線全線(こどもの国線を含む)が1日乗り放題になるきっぷで、渋谷や中目黒、自由が丘、二子玉川、横浜など、東急沿線の街を次々と乗り降りしながら楽しめます。
特に、短い区間を何度も行き来するようなプラン──たとえば「午前中は自由が丘で雑貨屋巡り、午後は二子玉川で多摩川沿いを散歩、夜は横浜で夜景とディナー」といった1日──では、普通に切符やICカードで乗るよりもおトクになることが多いです。
東急線ワンデーパスは、東急線各駅の券売機(世田谷線や一部駅を除く)で購入できるほか、PASMOとして発行したり、デジタルチケットサービス「Q SKIP」からスマホで購入することもできます。
“参考情報”
https://www.tokyu.co.jp/railway/ticket/value-ticket/oneday-pass/
https://www.tokyu.co.jp/global/railway/ticket/value_ticket/onedayopen_ticket/
◯ 箱根フリーパス
温泉地として人気の高い箱根エリアをしっかり楽しみたいなら、小田急の「箱根フリーパス」が王道です。箱根登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、芦ノ湖の海賊船、箱根登山バスや一部の路線バスなど、箱根観光でよく使う主要な交通機関がほぼ一通り乗り放題になります。
小田急線発のタイプを選べば、新宿〜小田原・箱根湯本間の往復乗車券もセットにできるので、都内からの1泊2日、2泊3日の箱根旅行には非常に使いやすい構成です。箱根湯本から強羅、大涌谷、芦ノ湖へ抜ける王道ルートを組むのにも向いていますし、美術館やカフェ、温泉をメインにゆったり過ごす大人向けの旅にもぴったりです。
箱根フリーパスは、小田急線各駅の券売機や窓口、小田急トラベル、主な旅行会社に加え、箱根エリアの駅や案内所、さらにスマホアプリ「EMot」やオンラインチケットサービスからも購入できます。
“参考情報”
https://www.odakyu-freepass.jp/hakone/
https://www.odakyu-freepass.jp/hakone/buy.html
4. 東日本の乗り放題きっぷ、どう選ぶ?
こうして見てみると、東日本エリアだけでもかなり種類があることがわかります。選び方のコツはシンプルで、まずは「どこへ行きたいか」と「何日使えるか」を決めることです。
長期休みを使ってローカル線で日本を横断してみたいなら、青春18きっぷや北海道&東日本パスのような広域向けフリーパスが候補になります。一方、週末の1〜2泊でエリアをぎゅっと詰め込んで楽しみたい場合は、ときわ路パス、えちごツーデーパス、サンキュー❤ちばフリーパスのようなエリア限定型が便利です。
都内や横浜周辺での街歩きやカフェ巡りがメインなら、東急線ワンデーパスのほうが自由度が高くなりますし、箱根の温泉や観光スポットを「交通費込みでまるごと楽しみたい」なら、箱根フリーパスがほぼ一択と言っていいでしょう。
あとは、候補になったきっぷの公式ページを開いて、フリーエリアの地図と利用条件を確認し、自分の旅のプランに重ねてみるだけです。同じ行き先でも、きっぷ次第で旅のスタイルはガラッと変わります。東日本のさまざまな乗り放題きっぷをうまく使い分けて、自分だけの「電車旅の定番」を見つけてみてください。
